英ポンド/円相場は、122円台前半まで軟化する展開。英国経済に特段の新規材料が見たら無い中、ユーロ安と連動する形でポンドも値位置を切り下げている。主にギリシャとスペインの財政環境が様々な形でクローズアップされる中、ユーロ安に歯止めが掛からず、それが更にポンド相場も押し下げる流れになっている。イングランド銀行(英中央銀行)の追加金融緩和を支持する動きが強くなっていることも、ポンドにネガティブだが、相場に対する影響は限定的。専ら、ユーロとの連動性が重視されている。
4月の英消費者物価指数(CPI)は、前月の前年比+3.5%から+3.0%まで大幅に低下した。一方、4月小売売上高は前月比-2.3%となり、2年3ヶ月ぶりの大きなマイナス幅になっている。インフレ圧力の鈍化と景気減速が確認される中、経済指標は追加金融緩和を容認できる環境になっている。一方、イングランド銀行のビーン副総裁は、景気が急速に悪化した場合には量的緩和策を拡充する必要があると述べ、必ずしも追加緩和を排除していない姿勢を明らかにしている。これで直ちに追加緩和策が導入されることは意味しないが、今後も経済指標の下振れ傾向が強まれば、当然に緩和圧力が強まる可能性が高い。英金融政策環境は、ポンドの下振れリスクを示唆している。
欧州債務問題に関しては、少なくともギリシャの再選挙が実施される6月17日までは、リスク回避の流れを後押しする可能性が高い。ギリシャの政局リスクは若干後退しているが、選挙結果が確認されるまでは予断を許さない状況が続くため、ユーロの下振れリスクが払拭できない。短期的な過熱感は否めないが、ここにきてスペインの金融セクターに対する懸念も強まる中、ユーロの戻り売り基調に修正を迫るのは難しいだろう。これは、ユーロとの連動性が高まっているポンド相場に関しても、ボトム確認は先送りされることを意味する。引き続き、ポンド売り・円買いスタンスで臨むべきだろう。
今後1週間の予想レンジは、121.00~124.50円。